ルシファーと愛の追憶(その4)

〜初めての告白〜

ようこそ僕の城へ

ルシファーが足元に転がるモンキースパナを拾い上げて、不思議そうに見つめると首を傾げて微笑んだ。

これは何?

あそれね。。

大したもんじゃ無い。。

車のエンジンが調子悪くてね。

ま。。気にしないでくれ。

勝手に城に入って悪かったな。

直ぐ出て行くよ

親しい友人にするように、肩をすくめて気まずそうに苦笑いを浮かべて頭を掻いた。

構わないよ。

客を迎えるのは初めてで、失礼は無かったかな?

僕の執事はひどく心配性でね

そう言うと、手にしたスパナをジェームスの掌に乗せると、ジェームスの顔をから冷や汗が吹き出した。

もうエンジンも大丈夫だよ。

僕の執事は器用だから。

もう直ぐ、彼女を連れてこちらにやって来る。

一緒にディナーでもどうだろう?

ルシファーの唐突な申し出に。。。

マジかよ

ジェームスは汗を拭き拭き大慌てで今来た道を走った。

冗談じゃ無いぜ。。

こんな所に長居は無用だ

しかし。。。

願いも虚しく、ジェームスの車が城門のスロープを静かにゆっくりと走り抜けていた。

ワォッ

くそっ。。何てこった

ジェームスの前で車が止まると、ジョアンナが笑いながらドアを開けて飛び出した。

嗚呼〜ジョアンナ

何もされなかったか?

彼女を抱き締めると、今度は運転席の黒服の紳士に鋭い視線を向けた。

ルシファー様。

仰せの通りお連れ致しました

黒服に淡い緑色のネクタイをキチンと絞めた中年の紳士が丁寧に一礼した。

有難う、ワイマン。

今夜は僕達はディナーを楽しむんだ。

宜しく頼んだよ

承知致しました

執事のワイマンは黒いスーツの似合う細い長身の体を丁寧に折り曲げて再び深く一礼した。

何を勝手に決めているんだよ

冗談じゃすまないぜ。

俺達は帰るっからな

そう言うと、ジョアンナの手を引っ張って、助手席のドアを開けた。

ジョアンナ、乗るんだ

ほらほら。。。

嫌よ

手を放してちょうだい

数時間前と同じ二人の行動に、ルシファーも再び可笑しさを堪えて下を向いて笑い出した。

その様子を見ていたワイマンは実に幸せなそうに微笑んだ。

どうぞ我が主人の願いをお受け下さいませ

勿論よ

若き伯爵と杯を重ねるなんて、光栄でございますわ。

ねえ〜ジェームス。

極上のワインが待っているわ

ジェームスは舞い上がっているジョアンナの耳元で囁いた。

本気かよ。

ヤバイ事になっても俺は知らんぞ

そんなに嫌なら、一人で帰りなさいな

そう言うと、ジョアンナはジェームスの手を振りほどき、ルシファーの前に進むと、ミニスカートから零れた美しい脚を折り曲げて腰を深く下げて挨拶をした。

若き伯爵は差し出された彼女の右手を、微笑みながらそっと握り返した。

その様子を、驚いた表情で見ていたジェームスが、慌てて二人の間に割って入った。

OK

決まりだ

折角のご招待だ、受けて立とうじゃないか。

なあ〜ジョアンナ

ジェームスが彼女を引寄せて、ルシファーに見せつける様に頬にキスをすると、ジョアンナは大袈裟に嫌がってジェームスを両手で突き放した。

そんな二人の姿を、ルシファーは楽しそうに見ていた。

僕のペンダントが輝いたのはこの愛の真実を知っているから

失った愛の追憶の為に君達は導かれた